私は山椒が好きだ。
何が好きかというと、噛んだあとにジワジワと口の中が痺れて麻痺する感覚。担担麺に山椒の痺れが混じると、美味さ十倍、いや、百倍といっても過言ではない。
分かりますか?山椒のさわやかな風味が口いっぱいに広がり、徐々に感覚が麻痺していく。四川風麻婆豆腐も山椒がよく聞いて美味。たまに自分でも山椒をとにかく使った麻婆豆腐を作っているが、それほど私は山椒が好きなので。
もはや、山椒がメイン、担担麺の麺とスープはオカズなのだ。

ただ、山椒は山椒でも、まったく感覚が麻痺しないような山椒が存在する。
例えば、うな丼にかける粉山椒はそれに当てはまる。
たしかに香りはいいよ、香りは。でも、わたしはそれだけでは満足しないのだ。麻痺だよ麻痺。俺をもっとスパークさせてくれよ!

そんな私だが、ある、ふらっと系ランチドラマで、おにぎりに粒山椒が入っている食べ物を食べている映像を目の当たりにした。なんなんだこれは、是非作って食べるしかないではないか。

ということで、まずは粒山椒を探す。
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あるスーパーマーケットで、さっそくこんな商品を見つけた。

実山椒


売られているではないか。粒山椒。まさかこんなところでお目にかかるとは思わなかった。こは期待大。
普段山椒を使うときは、ミルで引いて使っているのだが、これは違う。


蓋を開けたら、フワッと花というか、さわやかな香りがする。
液体の中に山椒がたっぷりはいっていて、これをそのまま食べるのだ。果たしてどんな味がするのだろう。


この見た目である。
おにぎりに使う海苔はこれ。


貰いものなので、どこの何かはよくわかっていない。


もちろんなのだが、安物海苔と違い、しっかりしていてパリパリそう。
そんな海苔を、火で軽く炙っていく。


炙ると非常に良い磯の香りがする。磯の香だけだと臭いのだが、しっかりと海苔の良い香りも漂っている。これは期待大である。
ということで、おにぎりの準備完了である。


右は塩水である。
今回の海苔は炙ったこともあり、海苔も本格的だし、美味しいに決まっているだろう。
それでは作っていこう。まずは塩水を手に付けて



米を握る・・・


熱い!熱い!!
炊き立ての米だから、手が痛い!!


素手でおにぎりを作るべきではなかったのだろうか・・・。これでは手が火傷する。マグマに手を突っ込んでいるような感覚(突っ込んだことはないが)
今どきのおにぎり屋は、衛生面を考えて、手袋等しているところが多いと思うが、どうしても手で作りたかった。
小さなころに、たまにおにぎりを作っていたことを思い出しながら握っている。あの時もここまで熱かったのだろうか。

そんなことを思いながらおにぎりを仕上げていく。


さあ、ここに山椒を乗せて丸めていく。


のせすぎか?
丸めていく


くねくね


くねくね


くねくねくね


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無理だ!
全然丸くならねえし、手に米が張り付く!!もういい!


なんて美しくないおむすびだ。
ということで、手の米はしっかりと食べて、海苔で巻いていく。


うんうん、海苔に巻かれているせいか、すでに美味しそうに見える。
ちなみに上から見るとこんな感じ。


悪くない。これで食べてもいいのだが、なんかおにぎり屋って、いいところは上にも具材が乗ってますよね。これじゃあただの塩結びなので、この上にも少々の山椒をまぶしていく。




なんだろうこれは・・・
この無理やり山椒を乗せた感じ。正真正銘、乗せているだけなのだ。形が丸いせいで、傾けるとコロコロと転がって落ちてしまう。
しかしそんなこと言っていられない。俺の腹はすでにドラゴンが雄叫びをあげている。よし、たべよう、たべてやろうじゃないかこのやろう。


ぱくっ、・・・っ!
粒山椒を噛んだ瞬間に、イクラを食べたときのようにプチプチとはじける。その瞬間に、さわやかな花のような香りが鼻を突き抜ける
また、塩水で米を握ったことにより、表面だけでなく、米の中まで塩味を感じる。香ばしい海苔の風味も口に広がり、まるで口の中でほのかに香る線香花火をしているような感覚。
少し時間が経ってから、口の中がシュワシュワというか、麻痺していく感覚が出てくる。これが山椒の醍醐味なのだ。

なかなか面白い食べ物だ。
山椒自体には特におかずになるような味は感じないのだが、鼻を突き抜ける風味が良き。


そんなことを言っている間にどんどん食べ進めて。


完食。うん、やっぱりおむすびは美味い。うますぎるのだ。

結論としては、非常に面白い食べ物で、間違いなく今までに食べたことのないおむすび。しかし、今後同じものを食べたいかといわれると、リピートはしない。おむすびに合うオカズは他にいっぱいあるからである。

この食べ物を考え付いた人はなかなか発想力があるというか、たぶん私には想像もしない創造力の持ち主なのだろう。
食への探求心に感服する。

ということで、余った山椒は、今後食べる魚や肉の付け合わせにしよう。
みなさんも是非、同じものを作って食べてみると面白い体験ができると思うので試してみてはいかがだろうか。





商品情報:

実山椒


執筆:DADA